ピロリ菌を除菌する意義
ヘリコバクター・ピロリ菌は、胃の粘膜にすみつく細菌です。感染が長く続くと慢性的な胃の炎症(萎縮性胃炎)を起こし、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、そして胃がんの発生に関わることが知られています。
ピロリ菌を除菌することには、次のような意義があると考えられています。
- 胃がんのリスクを下げる:除菌によって胃の炎症の進行が抑えられ、将来の胃がんのリスクを低減することにつながると考えられています。ただしリスクがゼロになるわけではないため、除菌後も定期的な胃カメラ検査が大切です。
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発を防ぐ:これらの潰瘍は、除菌をしないと繰り返しやすいことが知られています。除菌することで再発が起こりにくくなります。
- 胃炎の改善:慢性的な胃の不快感や炎症の改善が期待できます。
「ご家族に胃の病気をされた方がいる」「胃の不調が続いている」といった方は、まず一度ご相談ください。
保険適用となる条件
ピロリ菌の検査と除菌治療を健康保険で受けるには、いくつかの条件があります。
保険適用の主な条件
① 胃カメラ検査を受け、慢性胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍などと診断されること
② その上で ピロリ菌感染が確認されること
この2つが確認されてはじめて、保険での除菌治療が可能になります。平成25年(2013年)に対象が広がり、慢性胃炎でも保険が適用されるようになりました。胃カメラ検査を行わずに除菌だけを希望される場合や、3次除菌以降は、保険適用外(自費診療)となります。
当院は胃カメラ・大腸カメラ検査に力を入れているクリニックです。検査から除菌、その後のフォローまで一貫して対応できます。胃カメラ検査について詳しく見る →
除菌治療の流れ
胃カメラ検査で診断
胃の中を観察し、慢性胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍などの有無を確認します。必要に応じて組織を採取します。
ピロリ菌感染の検査
胃カメラの際の組織検査や、尿素呼気試験・血液検査・便中抗原検査などで、ピロリ菌に感染しているかを調べます。
1次除菌(7日間の服用)
胃酸の分泌を抑える薬と2種類の抗生物質を、1日2回・7日間続けて服用します。
除菌の判定
薬を飲み終えてから8週間以上あけて、尿素呼気試験などで除菌できたかを判定します。
(不成功の場合)2次除菌
1次除菌で除菌できなかった場合は、抗生物質の一部を変更して、同じく7日間服用します。
再判定
2次除菌の後も、同様に期間をあけて除菌の判定を行います。
(さらに不成功の場合)3次除菌
2次まででも除菌できなかった場合、3次除菌は保険適用外(自費診療)となります。対応については診察時にご相談ください。
1次除菌・2次除菌・3次除菌
1次除菌
最初に行う除菌治療です。胃酸を抑える薬1種類と、抗生物質2種類を組み合わせて1週間服用します。1次除菌での成功率は、使用する薬によって異なりますが、おおむね7〜9割程度とされています。決められた期間、きちんと飲みきることが成功率を高めるうえで大切です。
2次除菌
1次除菌で除菌できなかった場合に行います。抗生物質の1種類を別のものに変更し、再び1週間服用します。1次除菌で成功しなかった方でも、2次除菌で多くの方が除菌に成功するとされ、1次・2次を合わせると高い成功率になります。2次除菌までは健康保険が適用されます。
3次除菌(以降)
2次除菌でも除菌できなかった場合の治療です。3次除菌からは保険が適用されず、自費診療となります。使用する薬の組み合わせや費用については、診察の上でご説明・ご相談いたします。
除菌治療中の注意点
除菌の成功率を高めるために、服用中は次の点にご注意ください。
- 薬は最後まで飲みきる:途中で自己判断によりやめてしまうと、除菌に失敗しやすくなり、薬が効きにくい菌が残ることもあります。指示された7日間は必ず飲みきってください。
- 飲酒は控える:一部の薬はアルコールと相性が悪く、体調を崩す原因になることがあります。服用期間中の飲酒は控えてください。
- 喫煙:喫煙は除菌の成功率を下げると言われています。この機会に禁煙もご検討ください。
- 飲み忘れに注意:朝・晩の決められたタイミングで服用してください。
起こりうる副作用
除菌薬の服用中・服用後に、次のような症状がみられることがあります。多くは一時的なものですが、症状が強い場合や続く場合は、自己判断で中止せず当院へご連絡ください。
- 軟便・下痢
- 味覚の異常(苦味・金属のような味を感じる)
- 発疹・かゆみ
- 口内炎、腹部の不快感 など
発疹や強いかゆみ、血便、激しい下痢などがみられた場合は、服用を中断してご連絡ください。
除菌の判定とその後
除菌できたかどうかは、除菌薬を飲み終えてから8週間以上あけて検査します。早い時期に検査すると正しく判定できないため、十分に期間をあけることが大切です。判定には、吐いた息を調べる尿素呼気試験や、便中抗原検査などを用います。
除菌に成功しても、胃がんのリスクが完全になくなるわけではありません。除菌前から進んでいた胃の萎縮が残ることもあるため、除菌後も定期的に胃カメラ検査を受けることをおすすめします。気になる症状がある方、ピロリ菌が気になる方は、お気軽にご相談ください。

